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まったり技術ブログ

Technology is power.

【knock】JSON Web Token(JWT)を使ってみる【セキュリティ編】

f:id:motikan2010:20170421183524p:plain

前回の続きです。
JSON Web Token(JWT)を使ってみる【実装編】 - まったり技術ブログ
今回はJWTのセキュリティにふれてみます。

JWTは危険なのか

認証成功時に発行されるJSONは軽く見たかんじ、少し長い乱数のセッションIDのように見えますがそうではありません。

eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9.eyJleHAiOjE0OTI4MTY4MzYsInN1YiI6NX0.EzBo2BZatWc-80HAfioQYbL1gPH90tf9YV00yAnHBr8

規則性があり、下記の記事のように危険がふくまれているそうです。

auth0.com

christina04.hatenablog.com

発行されるJSONはこのような形式になっています。

eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9
eyJleHAiOjE0OTI4MTY4MzYsInN1YiI6NX0
EzBo2BZatWc-80HAfioQYbL1gPH90tf9YV00yAnHBr8

が発行された場合に、まずは「.」で区切る。
個々の値をBase64でデコードします。これだけです。

base64デコード
eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9 {“typ”:“JWT”,“alg”:“HS256”}
eyJleHAiOjE0OTI4NDY3MTUsInN1YiI6NX0 {“exp”:1492816836,“sub”:5}
EzBo2BZatWc-80HAfioQYbL1gPH90tf9YV00yAnHBr8 (署名バイナリデータ)

ユーザによって値が改ざんされる危険性

ここで重要なのが「“sub”:5」の"5"という数値がユーザidということです。
Webアプリケーション側では、この数値でユーザを識別されており、この値を他ユーザの値に改ざんして送信することによって、なりすましを行うことが可能となっています。
本来は「EzBo2BZa・・・」の値が検証トークンとなっており、値が改ざんされたことを検出できるが、algの指定にnoneが用いられた時に検証されないとのことです。
つまり、「{“typ”:“JWT”,“alg”:“none”} 」の場合に、なりすましが行われてしまう
そのことがJWTのセキュリティ上の懸念となっている。

ここではknockのみに焦点を当てて、改ざんが検出されるか、またはされないかの確認をしていきます。

knockはどうなのか

試しに「"sub":5」を「sub":6」に改ざんしてリクエストを送信してみます。

アルゴリズムを「HS256」

まずは、knockのデフォルトアルゴリズムで確認します。

ユーザid:5で認証

$ curl -X "POST" "http://nuconuco.com:3000/user_token" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"auth": {"email": "user1@example.com", "password": "passwd1"}}'

{"jwt":"eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9.eyJleHAiOjE0OTI4NDc5OTAsInN1YiI6NX0.L_inYpObtUsQE_lEP_Kk2FNgP8888ppMICykuGa7AVQ"}%
Base64デコード
eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9 {“typ”:“JWT”,“alg”:“HS256”}
eyJleHAiOjE0OTI4NDc5OTAsInN1YiI6NX0 {“exp”:1492847990,“sub”:5}

「"sub":6」に改ざんして送信

Base64デコード
eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9 {“typ”:“JWT”,“alg”:“HS256”}
eyJleHAiOjE0OTI4NDc5OTAsInN1YiI6Nn0= {“exp”:1492847990,“sub”:6}
$ curl -X "GET" "http://example.jp:3000/private-posts" -v \
-H "Authorization: Bearer eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9.eyJleHAiOjE0OTI4NDc5OTAsInN1YiI6Nn0=.L_inYpObtUsQE_lEP_Kk2FNgP8888ppMICykuGa7AVQ" \
-H "Content-Type: application/json"


HTTP/1.1 401 Unauthorized
X-Frame-Options: SAMEORIGIN
X-XSS-Protection: 1; mode=block
X-Content-Type-Options: nosniff
Content-Type: text/html
Cache-Control: no-cache
X-Request-Id: dc65a24d-e7c6-4cd7-abb2-0eaa27680f0a
X-Runtime: 0.003603
Transfer-Encoding: chunked

改ざんが検知されて、「HTTP/1.1 401 Unauthorized」となっている。

アルゴリズムを「none」

algにnoneを指定すれば、署名であるトークンが発行されずに改ざんができるのかを確認します。

設定ファイルの編集

$ vim config/initializers/knock.rb

# config.token_signature_algorithm = 'HS256'
config.token_signature_algorithm = 'none' # 32行付近に追記

これで「{typ: “JWT”, alg: “none”}」となってくれるはずです。

ユーザid:5で認証

$ curl -X "POST" "http://nuconuco.com:3000/user_token" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"auth": {"email": "user1@example.com", "password": "passwd1"}}'

{"jwt":"eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJub25lIn0.eyJleHAiOjE0OTI4NDg2MzUsInN1YiI6NX0."}%
Base64デコード
eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJub25lIn0 {“typ”:“JWT”,“alg”:“none”}
eyJleHAiOjE0OTI4NDg2MzUsInN1YiI6NX0 {“exp”:1492848635,“sub”:5}

予想通り「{“typ”:“JWT”,“alg”:“none”}」になり、認証トークンも発行されていないことが分かります 。 この状態で「"sub":5」を改ざんするとなりすましが可能であるか確認してみます。

「"sub":6」に改ざんして送信

Base64デコード
eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJub25lIn0 {“typ”:“JWT”,“alg”:“none”}
eyJleHAiOjE0OTI4NDg2MzUsInN1YiI6Nn0= {“exp”:1492848635,“sub”:6}
$ curl -X "GET" "http://example.jp:3000/private-posts" \
-H "Authorization: Bearer eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJub25lIn0.eyJleHAiOjE0OTI4NDg2MzUsInN1YiI6Nn0=." \
-H "Content-Type: application/json"

HTTP/1.1 401 Unauthorized
X-Frame-Options: SAMEORIGIN
X-XSS-Protection: 1; mode=block
X-Content-Type-Options: nosniff
Content-Type: text/html
Cache-Control: no-cache
X-Request-Id: 55fda114-d9c3-435f-aa49-22816180bd97
X-Runtime: 0.004454
Transfer-Encoding: chunked

結果は「HTTP/1.1 401 Unauthorized」
なんと「"alg":“none"」を指定しているがエラーになった。
knockでは「"alg”:“none"」に指定しても、認証トークンが検証されることが確認できた。
でも何故なのか。


knockのソースを見て原因を調べてみる。

なぜknockでは「"alg":“none"」で検証が行われたのか

JWTの実装を確認してみる。

ruby-jwtの仕様を確認

knockは内部でruby-jwtを利用しているので、まずはruby-jwtのREADMEを見てみます。
github.com

を見てみると、

decoded_token = JWT.decode token, nil, false

JSONのでコード時つまりトークンの検証時に、第3引数に検証有無を指定する必要があるらしく、上記のようにfalseが指定されていると検証が行われません。

knockの実装を確認

knock/auth_token.rb at 7fb00e36b8a1db188d2258eb28dbc56441385302 · nsarno/knock · GitHub

# 10行付近
@payload, _ = JWT.decode token, decode_key, true, options.merge(verify_options)

knockだとtrueが指定されており、検証が必須となっている。 そのため「"alg":“none"」となっていても検証が行われていたわけです。

knockでトークン検証なしにしてみる

ソースコードを少し変更してみて、トークンの検証が行われないようにしてみます。
試しに第3引数を"false"に変更して、動作を確認してみる。

$ vim vendor/bundler/ruby/2.3.0/gems/knock-2.1.1/app/model/knock/auth_token.rb

@payload, _ = JWT.decode token, decode_key, false, options.merge(verify_options) # 変更

再度改ざんしたリクエストを送信してみる。認証者をレスポンスで返すようにする。

$ vim app/controllers/private_posts_controller.rb

class PrivatePostsController < ApplicationController
  include JSONAPI::ActsAsResourceController
  before_action :authenticate_user

  def index
    render :json => current_user
  end

end
curl -X "GET" "http://example.jp:3000/private-posts" -v \
-H "Authorization: Bearer eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJub25lIn0.eyJleHAiOjE0OTI4NDg2MzUsInN1YiI6Nn0=." \
-H "Content-Type: application/json"

HTTP/1.1 200 OK
X-Frame-Options: SAMEORIGIN
X-XSS-Protection: 1; mode=block
X-Content-Type-Options: nosniff
Content-Type: application/json; charset=utf-8
ETag: W/"f7e6dd29a636a3d858fab2dd8c67e57d"
Cache-Control: max-age=0, private, must-revalidate
X-Request-Id: e4fdf9a4-49e7-4bff-be60-ae8351dc4483
X-Runtime: 0.004916
Transfer-Encoding: chunked

{"id":6,"password_digest":"$2a$10$2IL4VyZ2m2ojfjrWpMxiDOTL6Ctu43cm2o6423z7xCET71HtZVSRC","name":"User2","email":"user2@example.com","created_at":"2017-04-20T18:46:10.245Z","updated_at":"2017-04-20T18:46:10.245Z"}%

改ざんしたユーザidの情報を取得できていることが確認できる。

結論

knockの場合だと、変にknock自体のソースコードを変更しない限り、トークンの検証は必ず行われると考えられます。
今回は必然的に改ざんの検出が行われるとなりましたが、他のJWTライブラリではどうなのか。設定次第では検証を行わせないようなライブラリがあるのかなどを探していきます。